Every Day Is Exactly The Same

https://blogs.yahoo.co.jp/roady_6 から引っ越してきました。最近は何かと忙しく放置気味。

2021年に観た映画ベスト&ワースト

今年劇場で観た映画は旧作も含めて17本でした。最近の傾向として、突出した1本はありませんが、前半に観た作品が印象に残っていますね。

YCAMで7月にあったジャンポール・ベルモンド傑作選1がヨカッタ。9月にジャンポール・ベルモンド氏の訃報があり寂しい思いもしましたが、氏の作品は末永く愛され続けられることでしょう。YCAMで、傑作選第2弾はやってくれないのかしら。

 

ベスト4

シカゴ7裁判

ベトナム戦争の抗議運動から逮捕・起訴された7人の裁判の行方を描いた実録ドラマと聞くと小難しい映画のように思うが、全然違う。

編集がよいのでテンポよく飽きさせないし、時折サシャ・バロン・コーエンボラットのひと)が繰り出す小ネタに声を上げて笑ってしまう。

実話を元にしつつ脚色も結構あるようで批判の的になっているようだが、現在のBLM運動を思わせる題材でもあるし、楽しみつつ考えさせられる作品。

元々、パラマウントが配給する予定だったがコロナ禍で断念し、ネットフリックスに権利を譲った作品が劇場で観られるとは不思議なもの。ジョセフ・ゴードン=レヴィットを除いて日本で有名な役者は出ていないし、この機会を逃せば片田舎の劇場で観ることはできなかっただろうなぁ。

日頃、観たい作品が地方のシネコンでは観られないことに文句を言っているが、今回も観客は10人以下なので、劇場としても、だって客が来ないじゃんと言いたいところか。

 

www.netflix.com

ノマドランド

粗筋を読むと、現在の格差社会を告発する作品のようだが、季節労働の悲惨さはあまり強調されない。“ホームレスなの?”と小学生から尋ねられたファーンが、“ハウスレスよ。ホームレスとは別物”と強調したように、現代のノマド流浪の民)として、オカネに縛られず移動の自由を謳歌する。

アメリカでは、リーマンショックの後の経済破綻により、家を失った高齢者が多いらしく、主人公ともうひとりの男性(ボーン・アルティメイタムの悪役)を除いて、実際のノマドが実名で登場しているので、ドキュメンタリー映画のよう。

アメリカ西部の風景が美しく描かれ、広大さを実感する。あぁ、いつかはアメリカの自然豊かな風景を実際に目にしてみたい。安定した生活よりもリスクを負いつつ自由を選ぶ主人公の生き方について賛否が分かれると思うが、個人的にはヨシ!

 

searchlightpictures.jp

れいわ一揆

2019年参議院選挙に出馬した、安富歩さん主演のドキュメンタリー映画。映画のタイトルにあるように、山本党首をはじめ、れいわ新選組から出馬した個性豊かな候補者にも触れていくのだが、あくまで主役は”女性装家”の東大教授である安富さん。

安富さんは「子どもを守ろう」をスローガンにしつつ、また記号化した都市に馬がいて欲しいとの想いから馬を連れて、即興演奏家片岡祐介と一緒に演奏しながら選挙活動をするのだが、選挙に勝つことよりも自己表現として活動を続ける。

やはり学者だなぁと思うのは、「すべては政治的であり、『政治に興味がない』と言うことは最も政治的で、現在の体制を容認している」とか、名台詞が多いこと。

あんまり上映時間が長い作品は好みじゃないですが、4時間を超える本作品は長さは感じず、観てよかった。映画の後は、原一男監督(宇部市生まれ・山口市育ち)のトークショーもあり、撮影の裏話なども聞けたし。

docudocu.jp

DUNE デューン 砂の惑星

まさか続編ありきの作品とは劇場で原題Dune: Part Oneを見るまで知らなかったが、そつなくまとめていて、155分という長丁場も気にならなかった。

衣装やメカなども格好いいし、映像もきれい。それに、影のあるイケメンのティモシー・シャラメ、結構活躍するレベッカ・ファーガソン、頼もしいジェイソン・モモアなど役者もいい。

ストーリーに既視感を感じるのは、原作に影響を受けた映画が過去に山ほど作られているので仕方ないし、そういった「スターウォーズ」や「ナウシカ」、最近だと「ジョン・カーター」などが好きな私にとっては、超大作映画として楽しめた。日本ではコケたようだが、世界的にはヒットしたようで、製作の決まった続編を早く観たい。

 

wwws.warnerbros.co.jp

 

ワースト

007ノー・タイム・トゥ・ダイ

クレイグ・ボンドもいつの間にか15年間経つのだから、007はクレイグ版しか観たことない方も結構いるのでしょうね。

私の場合は、子どもの頃によくテレビで観ていたムーア・ボンドが基準となってくるのですが、最近の007シリーズが真面目すぎて、暗くて重いのが気に食わない。歴代作品では、初期3部作、「女王陛下の007」、「ユア・アイズ・オンリー」、「ゴールデンアイ」が好み。

クレイグ版ではダントツで「カジノロ・ワイヤル」が一番好きで、次が後半失速する「スペクター」。それから、バットマンダークナイト風味の「スカイフォール」で、一番低いのが印象に残らない「慰めの報酬」だったが、今作の位置は下から2番目くらいか。

最初、風光明媚なイタリア世界遺産の地でボンドカーDB5が秘密兵器を使って大活躍した後は、ジャマイカでドンパチしたり(アナ・デ・アルマス演じるパロマもよかった)イイ感じだったのに、あの人を殺してしまうし、中盤から007らしさが薄くなっていってダニエル・クレイグのアクション映画になっちゃったのが残念。

それでも、映画として面白ければいいのだが、近接アクションはイマイチのうえ、とにかく敵の動機が理解できないし、中盤以降は映画にのめり込むことができなかった。

数年後に新作が公開される際は、昔のシリーズの良さを取り戻すよう軌道修正をお願いしたいものだが、絶賛の感想もちらほら見聞きするので、ファンも世代交代すべきなのか。

 

www.007.com